《MUMEI》 . ビックリして振り返って見ると、 義仲が、運転席のシートを足蹴にしていた。 そのままで、彼は低い声で、アンドウ…、と押し殺すように呼んだ。 「うるさい」 彼の冷めきった目を見て、背筋が凍る。 アンドウと呼ばれた運転手は、慌てたように、スミマセン!と謝り、再び黙り込んだ。 わたしが本気でビビっていると、義仲は普段の穏やかな雰囲気に戻り、青ざめたわたしの顔を見て、にっこりした。 そのキレイな笑顔すら、恐ろしく感じる……。 …………やっぱり、怖ェッ!! つーか、『裏表』ありすぎだろッ!! ひとのこと、言えないけどさ。 . 前へ |次へ |
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