《MUMEI》 . わたしは怖ず怖ずと車から降りて、地面に足をついた。 まだ足は痛むけれど、我慢出来ないほどじゃない。きっと、ゆうこママが応急手当をしてくれたからだ。 わたしは夜空を仰いで、深く息を吸い込む。 新鮮な空気を、肺へいっぱい送り込むと、なんだかすっきりした。 一気にすがすがしい気持ちになったわたしは、クルッと車に乗っている義仲へ振り返った。 それから、ぶっきらぼうに言う。 「いろいろ、ありがと…」 そこまで言うと、急に恥ずかしくなった。わたしは、プイッと顔を逸らす。 「…なーんて台詞、ゼッタイ言わないから!!」 やっぱり可愛いげのないことを言ってしまった。 そんなわたしに義仲は、カンジ悪ッ!と笑った。わたしもつられて笑う。 . 前へ |次へ |
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