《MUMEI》 . わたしは義仲の顔を見る。彼はやっぱりわたしを真剣に見つめていてた。 それを見返していると、 だんだん、あのときのことが頭の中に蘇ってきたけれど、 でも、不思議なことに、松本先輩のことに対して、なにも感じなかった。 義仲はわたしを見つめて瞬く。 「あいつには…」 「もういいわ」 言いかけた言葉を、わたしはピシャリと遮った。義仲は驚いたように、え?と聞き返してくる。 そんな彼に、わたしはフンッと勝ち誇ったように笑ってみせた。 「わたしの魅力に気づかないオトコなんて、こっちから願い下げよ!」 高らかに言い放つと、義仲はキョトンとした顔をして、でも、すぐに声をあげて笑った。わたしは彼を半眼で睨み、笑うトコじゃないでしょ、と注意する。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |