《MUMEI》
油断大敵
『同点なら勝てる』

『サントスがいれば大丈夫』


素人の俺でも考えてしまうのだから、実際、試合をしているメンバーがそう考えてもおかしくなかった。


しかし


「同点でいいとか思わなきゃいいけど…」


ハーフタイム


希先輩は、ポツリと呟いた。


(だめなのか?)


希先輩の表情は、明らかに俺の考えを否定していたから、少し驚いた。


「同点でいいだなんて、思ってたら負けるだろうね」


珍しく真剣な口調で、厳が希先輩の言葉に続いた。


サッカー部元マネージャーの希先輩


バスケ部エースの厳


観戦メンバーの中で、特にスポーツに詳しい二人が同じ意見だった事に、俺は


不安になった。


そして、その不安は


…的中した。


俺のように、考え


消極的にプレーしていた二年生のボールを、相手があっさり奪い


一気に、速攻をしかけてきたのだ。


(そういえば、このパターンは、前半無かったな)


前半は、ツートップのどちらかが個人プレイで攻めて来たのに


今は、スリートップ


ドリブルで上がる中央の一人と平行する形で、前半攻撃の中心だった二人の選手が、走ってきていた。

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