《MUMEI》
大ピンチ
このまま、中央からのドリブル突破か


左右どちらかにパスか


それは同じ位可能性があるプレーだった。


松陰学園高校は、個人プレーが得意だし


左右の二人は


それぞれ、サントスが必死で止めた強烈なシュートを一本ずつ放っていた。


さまざまな攻撃パターンがあるだけに


吾妻高校は


ディフェンスに、迷いが生じた。


それでも、守りの要である拓磨が油断せずにずっと集中していたのは、救いだったが


拓磨は一人しかいないし


油断していなかったのは、後は、真司とサントス位で


攻撃の要の真司は、今必死で味方ゴール前に駆けつけている最中だった。


そんな中、中央の選手がそのままドリブルで、拓磨に一対一を仕掛けた。


守は、左の選手をマークしていた。


(右の選手は…)


「あー!フリーじゃん!」

厳が画面を指差した。


「ちょ!見えないから!」

直接画面に触れている厳に希先輩が叫び


「どけ〜!」


柊が厳を突き飛ばした。


その間に、右の選手にパスが通ってしまった。


誰もがその選手がシュートを打つと思った。


サントスの体は、既にその選手の方を向いていた。

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