《MUMEI》 . わたしの声に、クラス中が静まり返って、ドアの方へ一斉に注目した。 そして、わたしの姿を確認すると、 やっぱり、なにかを囁き合った。 …………なに?? いたたまれない気持ちになりながら、わたしは顔を俯かせて自分の席へ着く。 隣を見ると、義仲の姿がなかった。サボりだろうか。 わたしは家から持ってきた紙袋を見つめた。袋の中には、昨日返しそびれた、義仲のシャツが入っている。 わたしは、深いため息をついた。 それから、ゆっくりと椅子に座ったところに、千影が駆け寄ってくる。 「あんた、大丈夫だった?」 いきなり、そんなことを言われたので、てっきり、足のケガのことを言っているのだ、と思った。きっと、後藤のおじいちゃんが、わたしの遅刻の理由を、みんなにしゃべったのだろう、と。 . 前へ |次へ |
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