《MUMEI》 . 片倉さん宅のまえに、黒塗りのベンツがひそやかにやって来た。 どこから見ても、『その筋』の車だとわかるいで立ちに、我々取材陣の間にも緊張が走った。 停車したそのベンツから、まずは運転手が降りて、後部座席へ回り込むと、かいがいしくそのドアを開け、 そこから降りたった、そのひとの姿に、我々も目を疑った。 現れたのは、 片倉 璃子さん、そのひとだったのだ!! 彼女が慣れたように、車の中にいるだれかとにこやかに話を済ませると、運転手は静かにドアを閉め、運転席へ戻ると、それから車を発進させた。 片倉さんは闇の中へ消え去った車を、いつまでも、いつまでも、見つめていた。 その姿は、彼女が黒い組織と、深い繋がりが存在するように、我々の目にうつった。 . 前へ |次へ |
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