《MUMEI》
目覚め
仁美は大家の仕事を引き継いで、感じたことがある。
激安のアパート。風呂なしの共同トイレ。こういうところに住む人は、全部ではないが、ワケありの人が多い。
若い学生はいない。いわゆるフリーターのような人。レスラーのような巨漢。サラリーマンでも別居かバツイチの雰囲気を持った人。
いろいろだ。
もちろんそういうプライベートなことは、仁美からは聞かない。
今までは老夫婦が経営していたから、平穏無事なアパートだった。しかし、いきなり27歳の若い仁美が大家となり、皆は色めき立った。
仁美はまさに紅一点。一輪の花。もっと具体的に言うと、ハイエナの住処にいるバンビだ。
季節は夏。
薄着で廊下を掃除する仁美に、眠りかけていた狼の血が湧き立つ男たち。
仁美は人生で初めてモテまくった。

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