《MUMEI》 貴重な一点俺は、ハットトリックという言葉を知らなかった。 普通なら、質問する所だが (後にしよう) 俺は、空気を読んだ。 拓磨は何度か守とパスのやりとりをして、相手ゴール前にたどり着いた。 同じポジションで、一年間練習していたせいか、二人の息はぴったりだった。 「行け!イエスタクマ!」×3 「決めろ!ドンマイタクマ!」×3 「頑張って!」 「今だけ希が応援しても許すぞ!」 (何だろう…) 必死で応援しているはずなのに、希先輩以外の応援は、応援じゃない気がした。 (…ん?) 一人、応援するタイミングを逃した俺は、走りこんでくる真司を発見した。 その瞬間 拓磨はシュートかと思える強烈な勢いの パスを、真司にした。 真司は、ノートラップで、シュートを放った。 それは、普段の吾妻高校サッカー部ではあり得ない流れで 当然、相手も予想しておらず 全く反応できなかった。 「やったあぁ!」 画面の中と、視聴覚室内に、歓声が響いた。 そして、この貴重な一点は この試合で、唯一の得点となった。 前へ |次へ |
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