《MUMEI》

でもさっきの武、元気無かったけど…大丈夫かな…ちょっと心配…。

普段悩まない俺が考え事をしてボーッとしていると、アキラさんは俺の癖っ毛な髪をまるでさくらちゃんがしてくれるように撫でてくれていた。

その手はとっても気持ちよくって、お花の良い香りがした。


「荷物は適当に置いていいよ、お風呂はそっちだからね」
「は〜い♪」

背負っていたリュックを兄ちゃに下ろしてもらって、その中から下着と寝巻きを出すと、まっすぐにお風呂場に走っていった。

「あの…///」
「どうしたの?」

お風呂場にタオルを持ってきてくれたアキラさんの手をギュッと掴むと、アキラさんは頭に大きな『?』が浮かんでるような顔をしていた。

「うーんと…あのね…///」
「ん?」

脱ぎかけていた半ズボンの裾をギュッと握ってモジモジしながら、やっぱり思い切って思っていた事を言ってみた。

「アキラさんと…一緒に入りたい///」
「えっ///」

それを聞くなりアキラさんは顔を真っ赤にさせて恥ずかしがっていて、そのリアクションが兄ちゃの恋人だって事を忘れて俺がキスしてしまいたくなるぐらい可愛らしかった。

「そ、そうだね一緒に入ろうか」
「ホント一緒に入ってくれるの、やったぁ♪」
「…ぇ…あッ…かなた君///」

さっそくアキラさんの服を脱がしにかかっていると、兄ちゃがニヤニヤしながら風呂場を覗き込んでいた。

「兄ちゃも一緒に入る?」
「えッ///あの…狭いからダメですよ…ね///」

アキラさんは必死に俺の手を押さえながら、兄ちゃに懇願するような瞳を向けていた。

「そうだな、私は外で眺めていようかな♪」

そう言うと兄ちゃは手に持ったデジカメで、パチリと俺らの様子を収めていた。

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