《MUMEI》 . 彼らがいなくなってから、わたしは居住まいを正して、川崎先生へと向き直る。 「…どうも、ありがとうございました」 ぼそぼそ、聞き取りづらい声で呟いた。 川崎先生はチラリとわたしを見遣り、呆れたようにため息をついて、かぶりを振った。 「気が強いのは頼もしいが、その、向こう見ずな性格は、どうにかした方がいいんじゃないか?」 わたしは黙り込んだ。返す言葉が、浮かばなかった。 沈黙の中、先生はぼりぼり、頭を掻いて、 ぽつん、と、呟く。 「いくら腕っ節に自信があっても、君は女の子なんだ。力じゃ、さっきのヤツらにだって勝てない。あんまり、オトコをナメてると、痛い目に遭うぞ」 その言い方が、なんだかカチンときて、わたしはムッとした。 「べつに、ナメてないし。アイツらが勝手に誤解して、絡んできただけだし」 突っぱねると川崎先生は、またため息をつく。 「誤解されるようなマネ、するからだろ」 わたしはまた、ムカッとした。 . 前へ |次へ |
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