《MUMEI》 . 金井さんは怖ず怖ずと、わたしに近づいてきた。 「どうかしたの?そんなに怒って…」 やさぐれていたわたしは、べつに、とそっけなく返した。 「金井さんには、関係ないことよ」 冷たく突き放すと、彼女は目を左右に動かし、ご、ごめん…と消え入るような声で謝った。 その様子が、なんとなくイラッとする。 わたしは鼻を鳴らす。 「わたし、すっごい機嫌悪いから、話しかけない方がいいわよ」 意地悪く言ってから、踵を返して、再び歩き出した。忠告したにも関わらず、わたしのあとを、金井さんが追いかけてくる。 . 前へ |次へ |
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