《MUMEI》

.

金井さんは怖ず怖ずと、わたしに近づいてきた。


「どうかしたの?そんなに怒って…」


やさぐれていたわたしは、べつに、とそっけなく返した。


「金井さんには、関係ないことよ」


冷たく突き放すと、彼女は目を左右に動かし、ご、ごめん…と消え入るような声で謝った。

その様子が、なんとなくイラッとする。

わたしは鼻を鳴らす。


「わたし、すっごい機嫌悪いから、話しかけない方がいいわよ」


意地悪く言ってから、踵を返して、再び歩き出した。忠告したにも関わらず、わたしのあとを、金井さんが追いかけてくる。

.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫