《MUMEI》 拓磨がご機嫌の理由俺が高山家のクリスマスパーティーに参加する事を、拓磨に教えたのは 高山家一の権力を持つ 高山果穂さんだった。 「あの人に認められたという事は、俺と志貴はもう結ばれるしかない運命…」 「違うから。絶対面白要員だから」 (でも、二年連続でクリスマスパーティーに参加できるって事は、気に入られてるって意味だよな) 三年連続で参加している俺が言うと嫌味になるから、俺は、龍平さんが運転する車内では、何も言わなかった。 「大丈夫? バイト疲れ?」 「大丈夫です」 助手席の貴子さんの質問に、俺は笑顔で答えた。 確かにバイトは大変だったが これも三年連続だったから、慣れてしまった。 「一人者は辛いな」 「あんたもでしょ!」 「それでいくと志貴もね」 「う…」 娘に対しても、貴子さんはクールだった。 (まぁ、確かに俺達以外は皆バカップルだし、拓磨と志貴がくっつけば、俺だけ一人だしな) 普通は虚しくなるかもしれないが、俺は別に寂しくは無かった。 しかし 果穂さんは、そんな俺にもちゃんと相手を用意していた。 前へ |次へ |
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