《MUMEI》
クリスマスプレゼント
「「はい、祐也」」


帰り際、俺は志貴と壱子ちゃんから、クリスマスプレゼントをもらった。


「ありがとう。じゃあ、俺も」


俺も、二人にクリスマスプレゼントを渡した。


志貴はともかく


何故、俺が壱子ちゃんにプレゼントを渡せたのかというと


それは


『若い女性が普通に喜ぶクリスマスプレゼントを用意してくる事』


そう、大志さんに課題を出されていたからだった。


(妙な課題だとは思ったけどさ…)


「ちょっと壱子ちゃんには大人っぽいかも」


俺が課題用に選んだのは、シンプルなシルバーのネックレスだった。


課題があまりにも抽象的なので、俺はとりあえず無難なプレゼントにしてみたのだ。


「大丈夫。似合う大人になるから」


壱子ちゃんは、そう言って、終電に乗って帰っていった。


(お、大人だ…)


そんな壱子ちゃんが俺にくれたのは


俺と同じようにシンプルなデザインでシルバーの


ブレスレットだった。


『祐也は手首も細くて綺麗だから』


そんなカードのメッセージに


…小学生である事を、本気で一瞬忘れた。

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