《MUMEI》

「なーおかしいだろ?俺ってどっからどうみたって小学生なんてありえねーだろ!」



「「……」」


いや、今の佐伯は小学生でも通用します。


佐伯はさっきから小学生でもなかなか見かけない食い方をしている。
頬を目一杯膨らませながら次々とピザを口に運ぶ。


唇にトマトソースがベタベタついて、時々指を舐めている。


「それにしてもこれ全部食うのか?」


誠は佐伯が頼んだピザに手をのばしながら言った。

「だってムカつくんだもん!ほら日高も食え!」


牛丼ですっかり塞がった腹に俺は無理矢理何ピースか納めた。


まあ誠は丸々一枚仕上げたけど。




テーブルいっぱいに並べられた何枚ものピザ。




会計の時、佐伯はでっかいバッグから長沢の財布を出し、精算をすませた。






ばかだな長沢…。


あいつ今頃無事なんだろうか?












俺の部屋でクリスマスパーティーしようなんて佐伯が始まってくれて助かった。

誠もたまにはいーかなんて喜んで同意してくれたし。



目一杯ビールとシャンパンを佐伯は




もちろん、長沢の財布で買った。










「つーかおまえら、めちゃめちゃラブラブなんだなー」

「〜〜〜」

「まーな、もう俺以外の男と口聞くなって感じ?」

誠はそう言いながら俺の肩を抱いてきた。

「ちょっと…」


もがいても誠はがっちり俺を掴んで離さない。
「あーじゃあ俺も日高と口聞くなってことか?」

佐伯はビールをグビリと飲んだ。

「アハハハ!聖は別だって!だって聖はどうみたって……!!、…」


俺は咄嗟に誠の脇腹を抓った。

「どうみたって何?」

佐伯は可愛いらしく首を傾げて誠に問う。


「…どうみたって…、…、真依のダチだから…」




誠の奮える声。



満足気に頷く佐伯。



やっぱり佐伯は、見たくれと違って…






怖そうだ。

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