《MUMEI》

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その隣で、

金井さんが、ぽつんと呟いた。


「か、片倉さんて、モテるよね。サセコって噂、流れてるのに堂々としてるし。男の子から声、かけられるし」


わたしは眉をひそめて振り返った。金井さんは俯きがちに、言葉をつづける。


「やっぱり、び、美人は得だよね…」


その言い方に、どこか違和感が、あった。





…………なんだ、コイツ。





わたしが、ねぇ…と金井さんに声をかけたとき、


「見つけた!!」


切羽詰まった声が飛んできた。

わたしがゆっくり振り返ると、猛スピードで駆け寄ってくる千影の姿が見えた。

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