《MUMEI》

「真央さあ、」


「なにー?」
真央は頬に目一杯ご飯を詰め込んでいる。


「やっぱいい。」
なづきは途中で言いかけて止める。


「気になるよ。」


「うまく纏まらないからいいや。」


「そっかぁ。
そうだ、絵に描いてみたらどうかな?」


「絵に……、いいねそれ。」

「でしょー!
なんでもいいから描いてみるのってオススメ。」


「やってみるね」
なづきは少しずつ頭の中が軽くなってゆくのがわかった。



ルナの座席には男子がたむろしている。

最近、悩みすぎている。

ルナとなづきの接触なんて現象でしかない。
他人と他人同士肩が触れ合った程度の時間だ。

なづきのスケッチブックには水彩で描かれた黄土色の空が広がっていた。

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