《MUMEI》
そこにいない彼
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千影が呆れ顔で言ったのに対し、わたしは彼女を睨みつける。


「落ち着いていられるかッ!!このジジイ、またわたしに友達がいないってバカにしてッ!!」


怒鳴り返したわたしに、千影は飄々と返した。


「だって、事実でしょ」


その台詞にわたしは固まる。

一瞬の沈黙のあと、



「…そういうこと言うなぁぁぁッ!!」


わたしは、半泣きで叫んだ。取り乱したわたしを、千影はヨシヨシ、と犬をなだめるようにわたしの頭を撫でた。


クラスのみんなは青ざめた顔で、わたしたちを見つめていた。





******





−−−そんなこんなで。


いつもと同じように、おじいちゃんの授業が始まったのだが、


やっぱり、義仲の姿はなかった。


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