《MUMEI》

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千影と昌平の話によれば、朝から姿を見かけていないという。


「どーせ、サボりだろ」


休憩時間、なんてことないように、昌平が言った。千影も頷く。


「アイツが学校に来てる方が、珍しいんだから」


千影の台詞に、今度は昌平が頷く。


「そうそう。登校しても、保健室で寝てたりとかー」


そこまで言って、なにかを思い付いたように、彼は千影の肩に腕をまわした。


「そういや、俺、朝から気分悪くて〜。千影、保健室行こ〜。手取り足取り、看病してぇ〜」


気色悪い声を出す昌平の顔面に向けて、千影は的確に正拳突きをお見舞いした。昌平は鼻血を吹きながら、床に倒れ込む。

その不様な姿を見下し、千影は鼻を鳴らす。


「……保健室と言わず、病院送りにしてやるよ」


彼女の冷たい一瞥に、昌平は興奮したのか、もっと睨んで!踏み付けて!!とせがんだので、千影は言われた通りにしていた。


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