《MUMEI》 . わたしは金井さんを睨みつけたまま、だから?と先を促した。金井さんは戸惑ったように、激しく目を左右に泳がせる。 「だ、だから…櫻井くんは」 言いかけたのを、 「だから、なんだっていうの?」 強い口調で遮った。 金井さんは口を閉ざす。隣で騒いでいた千影と昌平もピタリと黙り込んだ。 わたしは彼女の顔を睨み据えて、つづけた。 「あの貼紙になに書かれよーが、わたしと義仲の関係がどーだろうが、あんたに関係ないでしょ」 金井さんは、バツが悪そうに顔を俯かせる。わたしは彼女を見つめて鼻を鳴らした。 「これ以上バカげた話したら、容赦しないよ」 釘を刺して、わたしは正面を見る。 ………勝った!! ふふん、と勝者の笑みをこぼしたわたしの背後で、 金井さんが、唸るように言ったのだ。 「ちょっと美人だからって…」 . 前へ |次へ |
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