《MUMEI》
大蔵先輩が不機嫌な理由
「やっぱりウザイ人間がいないと何か変ですよね」


(志貴…それは拓磨の事か?)


俺達はあれからお参りを無事に済ませ、今は近くのファミレスに来ていた。


「あ? 違うから。最近、この辺に変質者出るらしくてさ」

「捕まえたくて、帰省してからずっと巡回してるけど、まだ見つかって無いのよね」

「へぇ…」


何気なく聞いていると


「お前、気をつけろよ」

「そうよ、祐也」

「そうそう」


真剣な表情で、他の三人に心配された。


「…何で俺?」


(普通、女子だろ?)


首を傾げると


「狙われるのは、若い男らしい」

「…へ?」


「つまり、ホモの変質者だ」

「じゃあ、先輩も危ないんじゃ」


大蔵先輩は、久しぶりに会っても俺より小さくて可愛かった。


「俺がやられるわけないだろ!」


大蔵先輩は、一本背負いのジェスチャーをした。


「そうでしたね」


忘れていたが、大蔵先輩は柔道部の元部長だった。


「だから、気をつけろよ!」


(俺もそれなりに強いんだけどな)


そう思いながらも、俺は大蔵先輩や、他の皆の勢いに負けて『わかりました』と頷いた。

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