《MUMEI》

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義仲は、いつものように美しくほほ笑みながら、金井さんに言った。


「そういう台詞は、もう一回鏡見てから言った方がいいよ」


突然の義仲の出現に、金井さんもビビっていた。黙り込んで義仲を見つめたまま、立ち尽くしている。

義仲は金井さんに興味をなくしたのか、すぐにわたしへ視線を流して、おはよう、と爽やかに挨拶をする。

わたしは彼の顔を見返して、一度、ゆるりと瞬くと、半眼で睨んだ。


「おはよう、じゃないわよ。何時だと思ってんの?」


この遅刻サボり魔!と言ってやると、彼は屈託なく笑った。

その明るい笑顔を目の当たりにして、わたしもほほ笑む。


わたしと義仲の間に流れる、

その和やかなムードを、


「おはよう、義仲!!淋しかったんだゾ☆」


と、昌平が義仲に、ウザいくらい纏わり付いた。


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