《MUMEI》 ユウゴは歩きながら考えていた。 今回の目的は役員の警護を捕らえることだ。 ビルの中まで行くことはない。 ではどこで捕らえるのが一番安全かつ確実だろう。 「……駐車場か」 ユウゴは考えながら呟いていた。 駐車場で待っていれば、おそらく車を回すために誰か訪れるだろう。 しかし、駐車場の中に入るのは危険だ。 入口で車を停めさせ、車ごと奪ってしまうのが手っ取り早い。 ユウゴは自分の考えに頷き、二人に伝えた。 「そうだな。それしかないだろう。役員には常に複数の警護がついているだろうが、警護に警護をつけるはずないからな」 「じゃ、俺が車停めるよ」 ケンイチが楽しそうに笑みを浮かべながら言った。 そんな彼をユウゴは不安そうに見ながら「捕まえるんだからな? 殺すなよ? 車も壊すなよ?」と念を押す。 ケンイチは「わかってる、わかってる」と繰り返しながら頷いた。 「本当にわかってんのかよ」 ユウゴが心配そうに呟いたとき、三人の行く手に目的のビルが見えてきた。 一見して何階まであるのかわからないほどの高層ビル。 あそこにあのくだらないプロジェクトを実行している人間が集まっている。 いっそのことビルごと破壊できたらどんなにいいだろう。 ユウゴはそんなことを考えながら「見えたぞ」と織田とケンイチに伝えた。 前へ |次へ |
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