《MUMEI》
二人の来客
「いらっしゃ〜…」

ドアを開けた加奈子は一瞬止まる。
修二の隣にもう一人いたからだ。

「あれ、どうしたの?二人揃って。」


「途中で会ったんだ。」

修二はそう言いながら、指を指す。


「ごめんね、邪魔しちゃ悪いからって断ったんだけど…。やっぱ帰ろうか?」

「いいって!気にしないで?さぁ、入って入って!」

折角来てくれた親友を追い返す訳にはいかない。
加奈子は快く二人を招き入れた。

「あれ?誰か居んの?」

靴を脱ごうと下に目を向けた修二が聞いた。

「これ、男物の靴じゃん。…加奈子‥お前まさか…」
「浮気なんかしてないって!私シュウちゃん一筋だもん!!」

「だよなぁ。じゃあコレ何なの?」


修二が持ち上げたのは、リョウの靴だった。

「それ…説明するから取り敢えず中入って。」


訳がわからないといった感じで二人は目配せをしている。


「まぁ、いいじゃないですか!説明してくれるんだし!お邪魔しま〜す。」

不服そうな修二を無理矢理説得するように、もう一人の来客は部屋に上がった。
「シュウちゃんも入って。」
「おう。」

リョウの靴を元に戻しながら修二も上がった。



この二人ならきっと大丈夫!
リョウの事、理解してくれる筈だもん!!



何の根拠もない自信を持ち、加奈子はリョウの居る部屋へと二人を案内した。






後ろでニヤつく二人。





リョウの視線に入って来たものは二人の来客。





歪んだ笑顔を見せる修二と美雪だった。

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