《MUMEI》
氷の微笑
.

金井さんはオドオドしながら、わたしと義仲を交互に見つめて、つづけて言う。


「か、片倉さんは、い、いろんな男の子を取っ替え引っ替え、遊んでるんだって。び、美人だけど、だらし無いから、だ、だ、騙されるなって」


数々の中傷の言葉に、唇の端が引き攣る。


…………もう、我慢の限界だった。


金井さんを思い切り睨みつけて、凄んだ。


「あんたねぇ!どういうつもりで…」


わたしが言いかけたのを、

義仲が、ふぅん…と遮った。


「そんなこと、書かれたんだ」


なんでもないように、彼は呟く。その表情も、普段となんら変わりはない。





…………つーか、


ちょっとは驚いたり、


怒ったりしろよッ!!





心の中で毒づく。


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