《MUMEI》

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そんなわたしをよそに、義仲は金井さんに、教えてくれてありがとう、とニッコリした。その台詞に、金井さんの表情も明るくなる。


けれど、次の瞬間。

スウッと、義仲の目に、危険な色が宿る。

なんとなく、ヤバイ予感がした。

義仲は唇を弓型に歪ませて、氷のように冷たい微笑を浮かべ、でも、とつづけた。




「……ひとの話に首突っ込むのは、感心しねぇな」



ドスのきいた声だった。その目も、やっぱり冷え切っている。





…………あちゃー。


キレちゃったよ………。





金井さんは青ざめた顔をしたが、それでもしつこく、で、でも…と呟いた。


「か、片倉さん、い、言いづらそうだったし…だ、だから、わたしが代わりに」


そこまで言ったところで、義仲は、黙れ、と低い声で唸った。


「部外者は、引っ込んでな」


呆然としている金井さんを無視して、彼はくるりとわたしを振り返る。そのときには、先程の表情がウソのように、いつもの呑気な雰囲気にすっかり戻っていた。


「…で、つづきだけど」


と、なにもなかったようにつづけるのだ。

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