《MUMEI》 . 「…今日はダルイから、別の日にしてって言っといてよ」 激しく面倒になったわたしは、金井さんに言ったのだが、彼女は首を左右に振る。 「ダ、ダメだよ!!はやく行ってあげなきゃ、か、かわいそうじゃん!!」 それから何度か、同じような押し問答を繰り返したのだが、金井さんは一向にひかず、仕方なしにわたしが折れたのだった。 「あーもー、ウザいな!!わかったよ!行けばいいんでしょ!!」 ウンザリしながら言うと、金井さんはホッとしたような顔をした。 「か、化学室だよ!ま、間違えないでね」 念を押した彼女を、わたしは、ハイハイ、と適当にあしらう。 わたしが教室を出ようとしたとき、 金井さんが言った。 「バイバイ!」 わたしはゆっくり振り返った。 そのときの金井さんは、 今日見た、どの表情よりも生き生きとしていて、 それが、なんだか、 妙に気になった…………。 ****** 前へ |次へ |
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