《MUMEI》

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「…今日はダルイから、別の日にしてって言っといてよ」


激しく面倒になったわたしは、金井さんに言ったのだが、彼女は首を左右に振る。


「ダ、ダメだよ!!はやく行ってあげなきゃ、か、かわいそうじゃん!!」


それから何度か、同じような押し問答を繰り返したのだが、金井さんは一向にひかず、仕方なしにわたしが折れたのだった。


「あーもー、ウザいな!!わかったよ!行けばいいんでしょ!!」


ウンザリしながら言うと、金井さんはホッとしたような顔をした。


「か、化学室だよ!ま、間違えないでね」


念を押した彼女を、わたしは、ハイハイ、と適当にあしらう。

わたしが教室を出ようとしたとき、

金井さんが言った。


「バイバイ!」


わたしはゆっくり振り返った。

そのときの金井さんは、

今日見た、どの表情よりも生き生きとしていて、



それが、なんだか、





妙に気になった…………。





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