《MUMEI》
-
「見ようと、したこと…?」
かち合う、
一対の、神秘的に輝く紫水晶と
一対の、深い漆黒真珠
[見ようとしないから、見えない]
フルアはリツの頬に手を添えたまま、
視線を落とし
[見えないと想うから、見ようとしない]
手を下ろして
再びリツの瞳を見て微笑んだ。
そしてそのまなざしは
未だ驚きを隠せない様子の、
ジンへ。
[…ジン。何故お前たちが呼ばれたか、分かっているか?]
ジンは眉をひそめた。
「…なぜ、ですか?」
フルアはリツにも視線を流して、答える
[無知の力…]
「無知の、力…?」
[無知は時に、勇気より強く、優しさより暖かいものとなり得る]
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫