《MUMEI》 . わたしは肩を掴んでいる手を力いっぱい跳ね退け、ドアへ向かって駆け出した。 −−−しかし。 男子生徒は俊敏な動きで、背後からわたしの身体を捕らえた。 「逃がさないよ」 耳元で囁き、そのまま抱きすくめる。 周りから、それをあおるような歓声が聞こえた。 彼の手はわたしの身体をまさぐり、制服の中へ忍び込ませようとする。 「離しなさいよ!!このアホがッ!!」 抵抗しながら、怒鳴りつけると、 今まで見ていただけのやつらが、喚き出した。 「焦らすのは、それくらいにしろよー」 「空気読めよ。シラけるじゃ〜ん」 「自分から誘っといて、それはないでしょ」 …………はぁ?? . 前へ |次へ |
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