《MUMEI》 「やったな、賢史!」 「おうっ! 倉木さんのおかげです!」 ハイタッチの後、先輩に頭を乱暴に撫でられる。 「いでっ! 先輩痛い痛い!」 「ハハッ、わりぃわりぃ。」 満面の笑みで謝られてもな……。 でもいいや。 こんな経験めったにない。 なんたってあの大先輩と一緒にプレーしているんだ。 浮かれたい気分を精一杯に押し殺す。 そうして尊敬な眼差しで、 先輩を見上げた。 「ん、どうした?」 視線に気付いて、 先輩がこちらを向いて優しく微笑む。 「俺、先輩みたいになります!」 興奮して、捲し立てるように言ってしまった。 先輩はそんな俺を眩しそうに見つめた後、 笑い飛ばした。 「ハハッ、俺みたいに? もっと違う目標ねぇのかよ!」 「倉木さんじゃないとダメなんです!」 尚も詰め寄る俺に、 倉木さんは根負けした様子だ。 いや、その場しのぎだったかも知れないが。 「わ、わかったからっ! ロスタイムきっちり決めてこうぜ!」 「え? あ、はい!!」 前へ |次へ |
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