《MUMEI》 「え、ほら、あそこだよ。」 「あそこって、あの木の下でしょ?」 「うん。」 智香は再度目を凝らす。 そして溜め息をついた。 「だから、居ないってば〜。」 「え〜、なんでよー。」 ゆかりは頬を膨らました。 そこで智香は首を捻る。 「まさか……ゆかり…。」 ゆっくりと、ゆかりへ顔だけ向ける。 顔色は悪く、まるで何かに怯えたような顔付きだ。 「まさか…あんた……。」 「ん?どしたの? 顔色悪いよ?」 ゆかりは智香の両肩を掴み、揺さぶった。 「大丈夫ー? 生きてますか〜?」 「い、生きてるわよ!」 智香はゆかりの手を降り払うと、興奮して言った。 「ゆかり、もしかしてあんた、幽霊見たんじゃない!?」 「ゆ、幽霊!?」 「そう、幽霊!」 智香は逃げる体制を整えている。 なんたって智香は、 オカルト系は大の苦手だからだ。 一方のゆかりは、状況が未だ把握出来ずにいた。 前へ |次へ |
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