《MUMEI》
宗方さんの事情
「まぁ、ちょっと座って話そうか」


そう言われて、俺と宗方さんはとりあえずベンチに座った。


「それにしても、ホモの変質者に間違われるとはね〜ハハハ」

「本当に、すみません」

「いいよ。俺も挙動不審だったし。

…今はさすがに疑ってないよね?」

「はい、もちろんです」


宗方さんは、とてもホモの変質者には見えなかった。


「あ、でも…」

「…え?」


(?どうしたんだ?)


俺の言葉に、宗方さんは異常に反応した。


「でも、どうして息が荒くて、こんな夜の公園にいたんですか?」

「あ、それ?」

「はい」

「それか〜」


(…?)


宗方さんは明らかにホッとしていた。


「あの?」

「あ、ごめんね。実は探し物をしていてね。この辺の公園片っ端から調べてたんだ。

時間無いから、移動走ってしててさ。

朝からだったし、さすがに疲れてしまってね。

もう年かな〜」

「なるほど」

「…最後は否定してくれよ」

「え?」

「いや。それで、もう夜だし手がかり無いし、人もいなくてどうしようかと思ったところに君に話しかけられてね。

帰国子女だから、ついあんなオーバーリアクションしてしまったんだよ」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫