《MUMEI》
天然と努力の若作り
翌朝、『泊まらせてもらったお礼に』と、宗方さんが用意した朝食は


祐並に美味しくて、驚いた。


それから、いいと言うのに、宗方さんは、ごみ捨てにまで行ってくれて


「このアパート、ていうか、この階、美形ばっかりなんだね」


と、瞬きを異様に繰り返しながら、興奮していた。


どうやら、屋代さん・仲村さん・頼・エイミーに会ったらしい。


「宗方さんもかっこいいですよ」

「え?そ、そう!? でも俺オッサンだよ」

「いくつなんですか?」

「…秘密」

「ちなみに、屋代さんと仲村さんは四十代で、仲村さんは十九才の子供が…」

「えぇ!? マジ!?」

「はい。それよりは下ですよね」

「はい、それよりは下です」


(昨日も思ったけど)


宗方さんの口調はコロコロ変わる。


「質問です、田中君」

「はい」

「若作り男の奥様は、犯罪級の幼妻でしょうか?」

「違います。同い年だし、若作りじゃなくて、童顔なだけみたいです」

「天然…羨ましい…」


(宗方さんの、恋人はかなり年下で、頑張って若作りしてるのかな?)


本人が傷付きそうだから、俺は確認せずに、確信に近い予想を立てた。

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