《MUMEI》
愛の道祖神
志貴の話は、こうだった。


この街には


特に、公園付近には、『道祖神』と書かれた石碑が置かれている事が多い。


しかし、その中で唯一


文字ではなく、夫婦が寄り添っているような絵が削られている石碑があるらしく


それを見ると、恋愛成就するという伝説があるらしい。


《私達が小学生の頃流行った伝説だけど、最近また噂になってたの?》

「そ、それで、その『愛の道祖神』はどちらに!?」

《ねぇ、…誰かいるの?》

「あぁ、うん、ちょっと…」

《ふーん…ま、いいわ。私達の時は、小学校の裏山の頂上にあったわよ》

「小学校の裏山の頂上?」

「行ってきます!お世話になりました!ありがとうございます!」


俺の言葉に宗方さんは嵐のように出ていった。


《そろそろ試合始まるわよ、祐也》

「あ、うん」


そして、俺達は通話を終了させた。


それから、志貴と


朝、会場入りした頼とエイミーも含めた応援団は、会場で応援し


俺は、一人、部屋のテレビに向かって試合を応援した。


結果は…


一対二。


やはり、優勝候補は強かった。

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