《MUMEI》
大志さんからの呼び出し
丁度試合が終わった瞬間、俺の携帯が鳴った。


(珍しいな)


それは滅多にない、大志さんからの電話だった。


「はい」

《サッカー部、惜しかったね》

「はい」

《今、空いてる?》

「はい」

《じゃあ、うちに来てくれる?》

「はい?」

《今ね。珍しいお客が来てるんだ》

「客、ですか?」


高山本家に来る客だから、会社関係者だと俺は思った。


《会社関係じゃなくて、『愛の道祖神』でね》

「はい!?」

《あれ? 伝説知ってたの?》


大志さんは、意外そうに


マイペースに言ったが


「何か関係あるんですか?」


気になった俺は先を急かした。


《あぁ。昔は子供や孫達が通ってた小学校の裏山の頂上にあったんだけど》

「けど?」


…何故か、嫌な予感がした。


《数年前、都市開発の関係で、何処かに移さなきゃいけなくなってね》

「そ、それで?」

《今は、うちの庭にあるんだよ。

で、それを調べ上げたお客達が今記念撮影してるんだ。

それが、果穂も気に入るほど個性的なメンバーでね、で…》

「すみません、後で行きます!失礼します」


俺は慌てて、外へ出た。

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