《MUMEI》
深まる仲
俺が向かった先は、小学校の裏山の頂上だった。


そこで、俺は


(…)


昨日ヨレヨレだったスーツが、更にボロボロになり


涙目で、頂上付近をさまよっている宗方さんを発見した。


「…宗方さん」

「田中君」

「すみません。ここには無いんです。でも、今度はちゃんと場所わかりましたから、ついてきて下さい」

「…うん」


宗方さんは、ヨロヨロと俺に近付いてきた。


(こんなに一生懸命なんて…そんなに辛い恋、してるのかな?)


辛い恋の経験がある俺は、宗方さんに、かなり感情移入していた。


「た、田中君!?」

「タクシー呼んでありますから、そこまで我慢して下さい」


俺は、宗方さんを背負って下山した。


「あ、ありがと…」


(…可愛いかも)


赤くなる宗方さんに、失礼な事を思いながら


俺達は、目的地


高山本家に向かった。


「先客がいるのはムカつくけど、仕方ない。我慢するか!」


タクシーから降りる宗方さんは、復活していて


俺と、腕を組みながら、皆が待つ庭に向かって歩き出した。

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