《MUMEI》

しまった……。


つい、ロスタイムの存在を忘れてしまっていた。


残り3分。


まだまだ気が抜けない。


今度はちゃんと定位置につき、
ボールを睨む。


状況は先程と一変しており、
敵チームに焦りの色が伺える。


そのせいもあってか、
敵チームは空回りすることが多く、
動きが悪い。


倉木さんたちオフェンスは、
比較的落ち着いて攻防を繰り広げていた。


そしてそのままロスタイムは終わり、
長い長い、
試合終了のホイッスルが鳴り響く。


いつの間にか大歓声が、ジャパン、になっていた。


やっと終わった。


コートのど真ん中でへたり込む。


そんなに走った訳では無いのに、
肩で息をしていた。


やはりこの、ムッとくる暑さが影響しているのだろうか?


すると俺の視界に、
一本のスポーツドリンクが現れた。


「ほら、飲め。」


「あ、どもっす。」


倉木さんは俺にドリンクを手渡すと、
隣りに腰を下ろした。

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