《MUMEI》

.

わたしの断末魔の悲鳴のような大声に、ナベちゃんは顔をしかめる。


「なんつー声だしてんだよッ!!」


喧しいヤツだなッ!!と怒鳴られた。

わたしは半泣きになりながら、ナベちゃんに目配せをする。


「て、ててて、手がッ!!手がぁッ!!」


だれかさんみたいにドモリながら、恐怖を訴えると、

ナベちゃんは、ごく平然とした様子で言ってのけた。


「いい加減、出てこい。気味悪ぃから」





……………は??





わたしがキョトンとしていると、

不意に布団がもぞもぞと動いた。

ビックリして、振り返る。



その布団の中から、

ひょっこり覗かせた顔に、


わたしは、たまげた。





「義仲ッ!?」





布団の中に潜り込んで、わたしの手首を握ったのは、義仲だった。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫