《MUMEI》 . −−−…関わるな。 川崎先生の声が聞こえた気がして、 わたしは首を横に振った。 「知らない。わからない」 シラをきろうとしたが、義仲はそれを許さなかった。 彼は表情を崩さず、でもさっきよりも強い口調で、ウソつくな、と言った。 「一体、なにがあった?」 「なにもないってば」 わたしがそっけなく答えると、義仲はまた、ウソつくな、と繰り返した。 「今日、璃子ちゃん、なんかヘンだよな。ずっと俺のこと避けてるっつーか、関わらないようにしてる」 彼の台詞に、わたしは押し黙る。図星だった。 −−−…関わるな。 −−−…関わるな。 −−−…関わるな。 頭の中で、何度も何度もその言葉がリフレインする。 義仲はわたしの腕を離さないまま、ゆっくり身体を起こして、顔を覗き込み、 答えて、と、小さく囁いた。 「なにが、あった?」 . 前へ |次へ |
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