《MUMEI》

あの頃はまだ──那加は人見知りなだけだったんだよな。





なのに‥。





「──あたッ!?」

「ふーん、いい度胸してるじゃない」

「姫‥サマ‥?」

「召使なのに堂々と無視するなんてね──」

「ぁ‥そのっ‥‥‥スイマセン」





って言って簡単に許してもらえる感じじゃない‥よな‥。





「また何か浸ってたみたいね?」

「ぅ‥‥‥ハイ‥」





那加は何でもお見通しだな‥。





「あたしね? こうなったの──今はそんなに後悔してないかも」

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