《MUMEI》
『処刑』
.

彼は、わたしの方へ、空いている手を差し延べて、


「おいで」


と、呟いた。


わたしは呆然と、義仲を見つめていたが、


堪えられなくなり、


その胸に、飛び込んだ。


彼は、ヨシヨシ、と呟きながら、わたしの頭を優しく撫でた。


「ごめんね、助けられなくて」


優しい声に、涙が滲んできた。

しがみつくわたしを、なだめるように優しくほほ笑みながら、



義仲は、

ボソッと、言ったのだ。





「とりあえず、『処刑』だな…」





……。

…………。

………………は???





身体を少し離して、わたしは義仲を見上げた。


「『処刑』って、なに?」


恐る恐る尋ねたわたしに、

義仲は、爽やかにニッコリした。


「なにって、そのままの意味だけど?」


サラリと笑顔で返した彼に、どこかそら恐ろしいモノを感じた。


.

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