《MUMEI》 . それからデスクの上に置きっぱなしの、ナベちゃんのノートをペラペラめくり、 ペンスタンドのボールペンを使って、なにかをなぐりがきした。 「コレ、キャバクラの番号ね。VIP優待にするように言っておくから、予約してみてよ」 「キャバクラオーナーの回し者か、テメェはッ!?」 ナベちゃんのツッコミに義仲はまたヘラヘラ笑い、呆然としているわたしの肩を抱き寄せると、そのまま、じゃあね〜☆と保健室を出て行った。 最後に聞こえた、ナベちゃんの怒鳴り声は、 「二度と世話かけんなッ、バカップル!!」 ……、だった。 ****** その日は、義仲がわたしを駅まで送ってくれた。 歩いている間、義仲はなにも言わず、 ただ、厳しい目つきで、遠くを眺めていた。 . 前へ |次へ |
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