《MUMEI》 . わたしは、彼を見上げた。 川崎先生の言葉が、蘇る。 −−−…今後、俺達に関わるな。 胸が、潰されたように、息苦しい。 それが、どうしてなのか、わからなかった。わからない、フリをした。 わたしの視線に気づいたのか、義仲がわたしを見つめ返した。 澄んだ瞳だった。 彼は、真剣な顔をしたまま、言った。 「宗一、なんて言ったの?」 わたしは瞬いた。正直に、答えたほうが、いいのだろうか。 でも、 そうしたら、 わたしたちは、どうなるんだろう…? 急に沸き上がった不安のせいで、わたしが黙ったまま、答えないでいると、 義仲はわたしから目を逸らし、 まあいいや…と呟いた。 「なんとなく、予想はつく」 頼りない、声だった。 . 前へ |次へ |
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