《MUMEI》

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松本先輩の保身ばかりの本性を目の当たりにして、

わたしは拳を握りしめた。



…………あんな薄情なやつ、


フラれて良かったわッ!!



沸き上がった怒りに任せて、わたしは遠退いていく先輩の背中めがけて、地獄に堕ちろッ!!と怒鳴りつけてやった。


そんなわたしに、


「朝から物騒なこと言ってんねー」


と、ヘラヘラした笑い声が聞こえた。
振り返るとそこに、昌平が立っていた。

昌平は松本先輩を眺めながら、ニヤニヤしていた。


「なに話してたの?」


尋ねられて、わたしは鼻を鳴らす。


「貼紙のこととか、自分に迷惑かけんなってさ!なんだ、アイツ!!」


最低!!と叫ぶと、昌平はヘラヘラ笑った。
そして、まあねー、と呑気な声で言う。


「あのひと、散々嫌がらせ受けてるからね。嫌になったんでしょ」



…………えっ??



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