《MUMEI》 . 彼らはわたしの顔を見て、あからさまにニヤニヤすると、よぉ!と声をかけた。 「昨日はどーも、お世話になって」 若干、前髪が焦げている男がそう言った。 瞬く間に、わたしは彼らに取り囲まれる。 わたしは果敢にも、彼らを睨みつける。 「あら、生きてたの。硫酸とガスバーナーじゃ、足りなかったのかしら?」 平静を装って言ってやると、彼らはフンと鼻を鳴らした。 「強がるなよ、クソアマ」 「今日は逃がさねーからな」 「たっぷり、『お礼』してやるよ」 卑猥な笑い声をあげながら、彼らがわたしに手を伸ばしたとき、 「3年C組、武井、成田、山口、同年F組、柴田……」 のんびりした『だれか』の声が、すぐ傍から響いた。 そして、『だれか』が、わたしの肩に手を置き、 言葉をつづける。 「それと、橋本。以上、5名」 わたしは、振り返った。もう、だれだか、わかっていた。 義仲が、にこやかに笑って、わたしの肩に手を置いていた−−−。 . 前へ |次へ |
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