《MUMEI》

「那加ちゃんと榛野君のお陰で、私──」

「違うわよ?」

「ぇ」

「実音ちゃんが頑張ったんじゃない」

「ゎ‥ゎゎ‥私がっ?」

「──でしょっ、日向?」

「ぁぁ」

「そっ‥そんな事‥」

「なくないの。自信持ちなさいよ」

「自信‥?」

「そうよ。自信持ちなさい」

「──ぅ、うん‥」





那加に頷くと、鳥居さんはカバンを肩から下ろした。





そしてそこから、何かを取り出した。




「鳥居さん、それ‥」

「あっ、これはですね──手作りケーキです。2人に食べてもらいたいな、って」

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