《MUMEI》
引退する者、しない者
その後


俺と志貴は普通に


守と真司はギリギリに


そして、拓磨は、遅れて教室に入った。


「まぁ、…今日だけは許してやろう」


いつもは時間に厳しい担任も


直接サッカー部の応援に行ったせいか、拓磨には甘かった。


実際、拓磨は一回戦、かなり活躍した。


今回、吾妻高校サッカー部のイレブンは、誰一人として、油断はしなかった。


県大会決勝同様、複数のマークが付いたにもかかわらず、真司はシュートを決めたし


守は攻守バランスよくサポートに周り


サントスの調子も悪くなかった。


それでも負けたのは、相手が強かったとしかいいようが無かったのだ。


(レベルの違いってやつかな)


それを見せつけられた真司は、かなり悔しそうにしていた。


逆に、そこまで違いがあったにもかかわらず、諦めず実力を出せた事に、守と拓磨は満足していた。


だからこそ、真司はこれからも、サッカーを続けていく決意を新たに固め


守と拓磨は、あっさりと引退を決めた。


拓磨があまりにもあっさりサッカーと縁を切ったので


拓磨のサッカーをする姿に惚れていたファン達は、僅か数日でいなくなっていた。

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