《MUMEI》
エピローグ
 
 
 
―――‥これが、俺がこの世界に送られる事になった理由の出来事だ。

3ヶ月前、柊によってこの世界に来てから今までずっと、彼女を忘れたことはなかった。

彼女の存在は、今でも俺に恐怖を与える。



そして、後悔…。

智を救えなかったこと、椋を救えなかったこと、そして…、柊を救えなかったこと

全てのことに後悔した。


…俺を殺したことで、柊の心は晴れたんだろうか?無邪気に笑う、普通の女子高校生に戻れたんだろうか?


俺を殺した時の柊の表情は、今思い出しただけでも身震いするほど怖く、柊に対する恐怖を植え付けた。

けれど、同情心も消えてはいなかった。本当に哀れな女の子だと思う。



…そういえば、死んだら全員がこの世界に来るんだろうか?

だとしたら、二人は今
何処にいるんだろう。柊もいるかもしれない。


再会できたその時には、三人に謝りたい。

助けられなくてゴメンナサイ…、と。














「――月代君」

「…え?」





風が吹いたと同時に、俺の名を呼ぶ声が聞こえて、振り返ってみたが、誰もいなかった。





「気のせい…だよな。…でも、あの声……」





「…ねぇ、月代 黎夜君」

「!!」






気のせいではなかったと、再び後ろを振り向くとそこには、微笑みを浮かべた彼女…柊 海帆が立っていた。




「久しぶりだね」





柊はそれだけ言うと、あの日と同じように高らかに笑いながら俺に近付き、冷たい手で頬に触れてきた。



あぁ、何も終わっていなかった。
彼女は未だに救われていない。






俺は、更なる闇への入口が開いたのを感じた……。














――‥私ハ、オ前達ヲ絶対ニ


   ユ ル サ ナ イ


           -END-

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