《MUMEI》 「不法侵入者発見。 ただちに排除する。」 え……。 ええっ!!? 排除ってつまり……。 牛は右前足を浮かし、 体制を整え始めた。 息使いは激しく、 目は血走っている。 不味いぞこれは! 俺は素早く体を180度回転させ、 暗い通過を一目散に駆け出した。 絶対あの角を向けて突進してくるはずだ。 走りながら、 思わず想像して身震いした。 すると、遠くから地響きをがなり立てて近付いて来る足音。 もう追いついてきた!! 泣きそうになるのをぐっと堪えて、 俺も負けじと更にスピードを上げる。 だけど所詮は人と牛。 足音は一方的に近付くばかりで、 距離は一向に縮まらない。 ここはどうやら一直線の道しかないようで、 隠れる場所は何処にも無さそうだ。 もはや時間の問題だ。 前へ |次へ |
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