《MUMEI》

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わたしは金井さんに顔を近づけて、ねぇ…と呼びかけた。


「松本先輩ね、今、小説にハマってるんだって!」


囁くように言ってから、わたしは彼女から顔を離して、首を傾げた。


「この前、デート中に教えてくれたんだけどォ…ジャンルが…」


なんだっけ?と、首を傾げる。金井さんはハッとしてわたしの顔を見つめていた。

わたしは彼女の視線に気づかないフリをして、腕を組み、考え込む。


「えっと、確か、恋愛…違う。SF?…違うな。歴史だ……いや、ノンフィクションだったか…?」


適当なことをブツブツ呟き始めると、金井さんはあからさまに、ウズウズし始めた。なにかを必死にガマンしているように。

そんな彼女をよそに、

わたしは、あっ!と声をあげた。


「思い出した!!ファンタジー小説だ!」


わたしの台詞に、

金井さんの肩が、一度、大きく揺れた。


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